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神様の像なのに、手に持っているのは盗んだバター?
クリシュナには、そんな幼い姿を表した作品もあります。笛を吹く青年や、戦場の教え手という印象で読むと、ぐっと身近な場面に出会いますよ。
**今回紹介する二作品の丸い物は、美術館の解説ではバターの塊です。** 球の形だけを見て、果物やお菓子と決める前に、作品ごとの説明を開いてみましょう。
ここでは公開されている解説を読みます。筆者が現地で実物を見た感想や、画像の細部を実見した記録ではありません。
盗んだバターを手に、踊るクリシュナ
ミシガン大学美術館の作品1976/2.42は、バターの塊を持って踊るクリシュナの像です。制作時期は17〜18世紀とされています。
同館の説明では、幼いクリシュナは、かき混ぜてバターを作る容器から二つの塊を盗み、そのいたずらを喜んで踊っています。
盗んだ上に、踊っちゃうの……!
ただ、ここを「悪い子の話だね」で閉じると、信仰の中での見方が抜けてしまいます。同館は、幼児として愛されるクリシュナに、親が子を見るような愛情を重ねる読み方も説明しています。
**神の偉大さを、幼い子への親しさから感じる。** いたずらの場面が作品になる背景には、その見方もあるんですね。
これは当該作品についての館の説明です。クリシュナのすべての物語を、同じ一場面にまとめて覚えなくても大丈夫ですよ。
もう一体は、立っている幼児の姿
一方、ロサンゼルス郡立美術館の「Krishna, the Butter Thief」は、16世紀、インドのカルナータカ州マイソールで作られた象牙の像。作品番号はM.84.34です。
こちらの解説では、幼児が立ち、二つの大きなバターの塊を持つ、あるいは差し出す姿と説明されています。養母ヤショーダの目を離した隙に、好物のバターを盗む話にも触れています。
同じバターでも、さっきの「踊る」と、こちらの「立って差し出す」では、読んで思い浮かべる動きが変わりますね。
同館は、もともと家庭の祠で礼拝されるための像だった可能性も示しています。祠は、ここでは神をまつる小さな場所のこと。**家庭でどう親しまれたかは推定として読み、確定した使い道と言い切らない**ようにしましょう。
二作品を比べるときは、まず「踊る」と「立つ」に注目してみて。そこから持ち物や材質へ進むと、名前が同じ二体の違いもたどれますよ。
日本語で幼児期の話へ進むなら、目次を見てね
クリシュナの幼い頃をもっと知りたい方には、上村勝彦『インド神話―マハーバーラタの神々』が候補です。
筑摩書房の目次には、第4章「クリシュナ伝説」に「クリシュナの誕生」「幼児クリシュナ」「クリシュナの少年時代」などが並びます。年齢ごとの話を追いたいとき、入口を選びやすい構成ですね。
この本は目次を確認して紹介しています。本文は未読のため、今回の二作品と同じバターの場面がどの表現で載るかまでは未確認です。
手の中の球が気になったら、まず作品名と解説へ。強大な神の別の顔に、小さな持ち物から近づいてみてくださいね。