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片手を上げているクリシュナ。その上に、山。
ちょ、山まで持ち上げるの?! と驚く場面だけれど、絵の下の方にも目を向けてみて。そこには、守られる人々と牛がいるんです。
ゴーヴァルダナ山を持ち上げる話は、力の大きさだけを見ると、見どころを取りこぼしてしまう。なぜ雨が降り、誰がそこへ集まり、山が何の役割を果たしたか。順番を追うと、あの大きなものが、人々を覆う場所として使われていると分かります。
山を持ち上げたのは、インドラの嵐から牛飼いたちと家畜を守るため。
まず、その答えを置いておこう。この記事では、美術館の公開解説を手掛かりに、嵐が起きるまで、山の下の人々、絵によって変わる描き方、日本語で物語を読む本をつなげます。最初から神々の名前を全部覚えず、この一つの場面から進んでみよう!
インドラへの供物から山へ。嵐が起きる前の順番を押さえよう
登場する名前は、まず三つ。
クリシュナ、インドラ、ゴーヴァルダナ山です。
| 名前 | この場面での役割 | 最初に見ること |
|---|---|---|
| クリシュナ | 山を持ち上げ、人々と牛を守る | 上げた手と山、その下の人々 |
| インドラ | 嵐を起こす | 雨を降らせた理由 |
| ゴーヴァルダナ山 | 人々を覆う避難の場所になる | 持ち上げる前と後の役割の変化 |
名前を読んだだけでは、まだ出来事の前後が見えないよね。そこで、いきなり山を持つ場面へ飛ばず、その前に誰へ供物をささげようとしていたかを見ます。
フィラデルフィア美術館の作品解説では、牛飼いたちが、嵐の神インドラを祭ろうとしていたところから説明が始まります。クリシュナは、代わりにゴーヴァルダナ山を崇拝するよう求めた。その変更にインドラが怒り、激しい嵐を送りました。
祭る相手を変える。すると、雨をもたらす神が怒る。
この順番が分かると、絵の雨が単なる背景から、出来事を動かすものへ変わります。山を持つ姿を見てから、なぜこんなことになったのかへ戻ると、一本の流れになるんだね。
供物の相手が変わったこと、嵐が来たこと、山で守ったこと。最初の読書なら、この三つを一行ずつ並べてみよう。神話の名前を何十個も書くより、いま読んでいる場面の前後が追いやすくなります。
最初のメモには、山を持つクリシュナと、雨を送るインドラを左右に置いてみて。その間へ、牛飼いたちが祭る相手を変えた、という出来事を書きます。名前だけを横へ並べるより、何がきっかけで二人の行動がつながったかが見える。ここが分かると、嵐の場面へ戻ったときに、雨を送った側にも目を向けやすいよね。
読みながら迷ったら、名前の横へ動詞を書いてみて。インドラは嵐を送る。クリシュナは山を持ち上げる。牛飼いたちは守られる。これだけでも、長い名前が役割を持って見えてきます。
この物語を日本語の本で探すなら、上村勝彦『インド神話――マハーバーラタの神々』が候補になります。筑摩書房の目次には、第4章のクリシュナ伝説に、山を持ち上げる項目があると確認できます。
物語の名前を覚えたら、目次で探す場所まで分かる。そこまで進めれば、今回の場面から本を選べます。
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山が大きな傘になる。持ち上げた手の先から、下にいる人々へ
嵐へ対して、どうするのか。
山を持ち上げて、その下へ人々と牛が集まる。
わあーー、守る場所の規模まで、ぐんと変わるんです!
フィラデルフィア美術館は、山が傘のように友人たちと牛を覆い、クリシュナが七日間支えたと説明しています。また、メトロポリタン美術館の教育資料でも、人々と動物が山の下で七日七晩を過ごす場面が紹介されています。
ここで見たいのは、持ち上げる力と、下にできる場所の両方です。
片手に注目していた視線を、山の広がりへ移す。そのあとで、覆われる人々や動物へ。すると、主人公の動作が、誰のために行われているのかも追えます。
山はもともと、下へ潜り込むために宙へ浮いているものではないよね。この話では、その位置が変わることで、村の人々を守る役割が生まれる。動かされた大きなものと、守られる小さな一人ひとりを一緒に見ると、場面が立体的になります。
七日間という長さも、一瞬だけ持ち上げて見せたという説明とは違います。物語は、その下で人々が過ごす時間まで置いている。絵は一枚でも、そこに描かれた姿の前後へ目を向けられるんです。
ただ、絵から七日間のすべての出来事を読み出せるわけではありません。食事や会話、毎日の行動がどこまで物語に書かれるかは、読む本文で確認することになります。今回は、美術館が述べる避難の場面を入口にしています。
絵を見る順番の提案としては、次の四つで十分です。
1. 山を支えるクリシュナを探す。
2. 山がどこまで広がるか見る。
3. その下にいる人々と牛を探す。
4. 嵐やインドラが、どこに示されるか解説と合わせる。
先に山の形が気になったなら、そこから始めてもよいんです。上にある山と、下に集まる姿を見つけたら、両方の間へ視線を往復させてみよう。最初はクリシュナだけを見ていた人も、周囲へ目を移せる順番です。どの姿が気になったか、次にもう一度開くときの目印にしておこう。
題名を知る前と知ったあとで、もう一度同じ絵を開いてみよう。大きな山がある、から、嵐の中で誰を守っているかへ。見たい部分が変わると、同じ作品へ戻る理由もできます。
本でこの場面を読むときも、最初は持ち上げた姿を思い浮かべ、次に山の下へ視点を移してみて。文章と絵を行き来する入口として、物語の収録が分かる本を選べます。
嵐の結末まで読むと、インドラの立場も動いている
山が上がった! 人々が守られた!
ここで読み終えても場面は分かるけれど、もう少しだけ、インドラへ目を戻そう。嵐を送った側に、その後何が起きるのでしょう。
メトロポリタン美術館の教育資料では、最後にインドラがクリシュナの力を認め、嵐の雲を退け、彼を礼拝するところまで説明しています。先ほどの怒りから、相手への見方が変わる。
始まりと終わりで、同じ神の立場が動いているんだね。
この場面を読書メモにするなら、クリシュナの行動だけを並べず、インドラについても「始まり」「途中」「結末」の三つで追う方法があります。最初には祭りの相手だった。途中には嵐を送った。最後に相手の力を認める。順番にすると、誰が何をしたかの一覧より、変化が見えます。
そして、供物をささげる相手が変わったという冒頭へ戻ると、結末ともつながります。山を持つ奇跡が、途中へ突然置かれただけではない。最初に生じた対立へ、結末が返事をしているんです。
強い神が出てきたら、その神は毎回同じ立場で勝つ、とは限りません。神話を読むときは、名前に付いた肩書だけで結末を予想しきらず、いま読んでいる話の中でどう振る舞うかを追うと、次の場面も気になってきます。
別の話でインドラの名前を見つけたら、今度は誰と向き合っているかを見てみよう。本の公開目次には、別の章にインドラの復権を扱う項目もあります。今回の結末を覚えたまま、次の場面の相手と目的を追う。物語を一つ読み終えたことが、次の話を読む足場になるんです。
本の目次を見ると、上村勝彦『インド神話』にはヴェーダの神話、叙事詩の神話、ヴィシュヌ神話、クリシュナ伝説というまとまりがあります。いろいろな話に出る名前を、どのまとまりで読んでいるかも手掛かりにできます。
最初から全章を行ったり来たりするのが大変なら、今回の山の話を読んだあとで、インドラが出る別の話を一つだけ探してみよう。行動の違いを一つ比べるくらいからでも、神々を単純な役柄へ押し込まずに読めます。
メモの最後に「インドラが相手を認めるところまで」と書いておけば、次に読むときにも結末を探せます。山の大きさで驚いたあと、誰の判断が変わったかへ。二つの見どころを持って本文へ戻ってみよう。
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同じ山の場面でも、絵によって人物の配置は変わる
題名が同じなら、絵の描き方も同じ?
ここは、作品を一枚ずつ見比べたいところです。山を持つ場面を扱っていても、どの人物をどこへ置くか、どんな姿へ注目するかは変わります。
メトロポリタン美術館の写本の一葉は、『ハリヴァンシャ』に関係する作品です。制作年代は1590~1595年頃とされ、アクバルの時代にヒンドゥーの叙事詩などがペルシア語へ訳され、挿絵が作られた背景を、館の解説が紹介しています。
神話の話と、それを絵にした時代。ここでも、二つの時間があります。
作品が作られた年代を、そのまま神話の出来事が起きた年として読む必要はありません。物語は何を語るか。画家はそれをどう表すか。作品の題名や解説を見るときも、両方へ目を向けられます。
フィラデルフィア美術館の作品は、1700~1725年頃のものと紹介されます。解説では、クリシュナの左右にいるバララーマとナンダ、山を支える細い杖に言及しています。さらに、その支える力もクリシュナに由来すると説明されます。杖の見た目と、物語で誰の力が働くかを合わせて読むと、この二人を見る手掛かりも増えるね。大きな山と、細い道具。その組合せにも、館の説明を手掛かりに注目できます。
自分が画面で見分けにくい人物の名前は、先に館の解説で確かめてよいんです。顔を眺めただけで全員を当てるクイズにしなくても、誰を見ようとしているか分かれば、画像へ戻れます。
また、大英博物館の絵画解説は、画面右上で象アイラーヴァタに乗るインドラを紹介しています。嵐を起こした側も同じ絵の中へ置かれている。この作品を開くなら、上げた手だけでなく、解説の右上という位置を手掛かりに探せます。
それぞれの絵に出る人物や位置は、その作品についての情報です。一枚にある配置を、別の作品へ自動で移さないでね。「この絵では誰が隣にいる?」と問いを変えると、比較ができます。
メモするなら、作品の館名と題名の下に、「守る側」「守られる側」「嵐を起こす側」という欄を置いてみよう。該当する姿が確認できなければ、その欄は保留で大丈夫。紹介文に書かれていることと、自分が画像で見つけたことも分けられます。
ほかに、メトロポリタン美術館にはシュリーナートジーの姿を扱う絵もあります。館は、山を持つクリシュナの姿との関係を説明しています。同じ行動が、信仰上の姿を表す作品へつながる入口として見られます。
美術館ごとの図像解説は、今回紹介する日本語の本へ掲載されているとは確認していません。本は物語を読むため、館のページは個々の作品を見るため。この二つを行き来する楽しみ方です。
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日本語で続けるなら、山の話がある目次から本を選ぼう
さて、絵から本文へ進みたい。
そのとき、題名にクリシュナやインド神話とある本を、全部同じ内容として選ばないのが近道です。いま読みたいのは、山を持ち上げるあの場面。そこが目次にあるかを先に見ます。
今回の候補は、上村勝彦『インド神話――マハーバーラタの神々』、ちくま学芸文庫です。ISBNは9784480087300。出版社の公開目次で、第4章のクリシュナ伝説に「ゴーヴァルダナ山を持ち上げる」があることを確認しています。
同じ章には、誕生、幼児、少年時代、カーリヤ竜、カンサに関する項目もあります。今回の場面へ進んだあとで、その前後の話を読みたい人にも、目次を手掛かりに範囲を選べます。
ここで一つだけ、本の種類も押さえておこう。これはインド神話を原典から紹介する本として案内されています。原典の全文が、すべて一冊へそのまま入っていると考えて買う本ではありません。まず物語の紹介を日本語で読みたい、という目的へ合わせる候補です。
物語を読む前には、三つだけメモしておくと戻りやすくなります。
– インドラへの供物から、山を祭る方へ変わったこと。
– 山が人々と牛を守る場所になること。
– 嵐を送る側が、結末ではどう変わるか。
読んだあとで、どの場面が気になったか、一つ選んで書き足そう。物語を全部短くまとめ直すより、次に見たい絵や、もう一度読みたい段落を残す方法です。
本を購入する場合は、著者、ちくま学芸文庫というシリーズ、ISBNを合わせます。楽天検索には同名の本や違う版が混じることもあるので、番号と形式を商品の説明で確認してください。今回のリンクは、このISBNの紙の本を探すものです。
すでにインド神話の本を持っているなら、まず索引や目次で、この山の名前を探してみてもよいんです。新しく買う判断は、手元の本で読める範囲が分かってからでも間に合います。
絵を見るときと、文章を読むときでは、最初に気になるものが違うこともあります。絵で山の大きさが気になり、本文で祭る相手の変更が気になる。その違いを残しておくと、一つの場面へ戻ったときに、もう一度話を追えます。
山を持っているクリシュナ、で終わっていた一枚へ、牛飼いたちと牛、インドラの雨、七日間という時間が加わる。
次に作品を開いたら、上げた手を見つけて、その下へ目を移してみよう。大きな力の先に、守られる誰かがいる。そこまで見えると、この場面を読む入口が増えるよね。
まずは三つの名前と、出来事の順番から。
山を持ち上げる瞬間に驚いたら、その次は山の下へ。そこにいる人々も一緒に見ながら、クリシュナの物語をもう少し読んでみよう!